「Re:」の中にあるもの
2007-08-22


禺画像]
小説新潮9月号を読んでいると「Re:」という短編がある。
若くして病死した妻が,夫と息子に自動的にメールを送信するプログラムをPCに生前組み込む。それに対し残された夫が「Re:」として返信していくというストーリー。

ふと考えてみると以前は「Re:」という記号を使うことはあまりなかった。電子メールが使われるようになってから、「Re:」という記号に違和感を持たないようになった。

ただ最初の頃、私はメールの返信はなるべく「Re:」を消して新たな表題にしてメール返信をしていた。なんかそのままだとぞんざいな感じがするんじゃないかと思っていた。
でも最近は「Re:」だらけ。友人によっては、いきなり「Re:」で始まる表題のメールが来たりして頓着しなくなったこともあるのだろう。

それよりメール不精になってしまった。用件のあるメールには24時間以内(それでも遅い・・・)に返事をするようにしているが、互いのたわいのないメールにはあまり返事をしないし返事も期待しなくなっている。

ブログを書くようになってから、メール不精はますますひどくなっている。
日々のたわいない妄想は、このブログのなかに詰まっているもの。

上記の短編小説「Re:」では、妻から最後のメールが夫に届く。このメールを最後にする、新しく好きな人を見つけてください、そしてこのメールは自動的に消除されるという内容だ。夫は懸命にそのメールを保存しようとしたりカット&ペーストを試みるが、彼女の作成したプログラムはそれを拒否するようになっている。

妻とのメールは(それはPC上の擬人的なものだが)途絶えるが、夫は心の中で「Re:」していくという結末に至る。
「Re:」という無機質な記号の中に、意外と人の想いが入っているのかもしれない。
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[雑記]

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