ロードバイク小説「サクリファイス」を読む
2007-09-24


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mejiさんからご紹介いただいたロードバイク小説「サクリファイス」を読了。 ロードレースの世界を描いた青春ミステリという異色作。

自転車のロードレースってまだまだ日本ではマイナーだし、わたし自身もそれほど詳しくない。でもそのような予備知識がなくても、ぐいぐいとストーリーに引き込まれていく。

「かちり、とシューズがピンディングペダルにはまった。
こぎ出す瞬間は、少し宙に浮くような、頼りない感覚。だが、それは二、三度ペダルを回すだけで消える。
ホイールは、歩くよりも軽やかに、ぼくの身体を遠くまで運ぶ。サドルの上に載った尻など、ただの支えだ。緩やかに回すペダルと、ハンドルで、ぼくの身体は自転車と繋がる。」(同書8頁)と冒頭の文章のカッコイイこと。

陸上競技から大学では自転車競技に転身し、卒業後実業団チームに所属した白石誓(ちか)という青年が主人公。チーム内には長年エースとして君臨する唯我独尊的な石尾、白石と同期の野心家伊庭などがいる。
そしてエースの石尾には,じぶんの保身のため以前にチーム内の有力新人を再起不能にさせたという噂がつきまとっている。

ミステリなのでストーリーの詳細は割愛するが,人物造形がイイ。 主人公の白石はナイーブだが芯が強く、他のチームメイトも個性的。 サクリファイス(犠牲)という言葉の意味を、スピード感を持たせながら最後までもっていくのもなかなかのもの。

作者が大阪芸術大学出身のためか地元の暗峠(くらがりとうげ)を主人公達がロードバイクで登るシーンも詳細に書かれている。

でも、主人公の元恋人の女性の人物像はちょっと平板かな。 美人で、知性があり現在は新聞社に勤めているという設定だが、私には愚鈍で無神経にしか見えない。最悪なのは男を見る目がないこと。普通、主人公の白石みたいないい男を振ったりはしないでしょ(苦笑。

私はロードバイク1年生、かつロードレースにも興味ないし、へたれのオヤジライダーだ。ロードバイクを乗りこなしている人ほど、この小説はおもしろいんじゃないかな。
明日はロードバイクで猪名川天文台まで走ってみたいな。

※mejiさん、素敵な本の紹介、ありがとうございました。 またいっしょにポタリングしましょうね。

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