二〇〇二年のスロウ・ボート
2006-02-03


二〇〇二年のスロウ・ボート

わたし、本を読み始めて、つまらなかったら読むのをやめちゃいます。
時間の無駄ですから。 「つまらない」というのは作者が悪いんじゃなくて、わたしの感性と肌が合わなかっただけの場合も多いんですけど。

この本、読み始めると正直、最初は苦痛だった。
最初の風景の描写とか、主人公の心の動きを表現する文体が、なぜかしっくりとこない。なぜだろうと思っていると、この小説の文体、ランダムな・意識的にノイズを入れた音楽みたいなんですよね。

簡単にいうと、実験的すぎて、読むのがしんどい。

でも、左の乳輪が北海道を、右乳輪が宮古島の形をもつ(どんな形?)ガールフレンドが出てきて、俄然おもしろくなる。
最後の女・庖丁人(で、女子高生でもある)の部分などは、歯切れがいいんですよね。

ストーリーは、1985年、1994年、2000年の東京を、東京脱出(世間脱出)を試みる主人公から見た同時代史ということか。元不登校児、元フリーターのこの主人公の、こころの動きはなかなか面白い。知的だけど、ロック的(本文を読めばわかります)。

そしてこの本は村上春樹「中国行きのスロウ・ボート」のカバーバージョンとして書かれたもの。作者の、後書きもなかなか興味深い。

たまには好き嫌いせずにいろんな本を読んでみるもんです。

[Books]

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